修学旅行★幼なじみと甘いキス


入口ののれんをめくり、店内に入ると

ちょうどお昼どきな事もあり繁盛しているのか、お店の中は大勢のお客さんたちで溢れていて


しきりにラーメンをすすり上げる音や
モクモクと漂ってくるおいしそうなスープなどの匂いに

わたしたちもさっそく案内されたテーブル席をみんなで囲うようにして座る。


「みんな何にする?」

「俺はとんこつかな」

「あたし味噌ー♪」

「やっぱ昔ながらのしょうゆだろ」


えー絶対味噌だよ!

いやいやとんこつも外せないって



自分が好きなメニューを前に、あさみちゃん達が指をさしてワイワイ議論している中

隣で縮こまって、とっさにチラッ…と視線を動かしたわたしは、
ここから対角線上に座ってる直哉くんの顔をおそるおそる見つめた。


「直は?塩?」

「あー…うん。俺はそれでいーや」

「よしきた。…すんませーん、注文お願いしまース!」


するとそこにいた直哉くんは
何も知らない人から見たらほとんど気づかないくらい、いつもみたく笑っていて。


…それでも、ここにいるわたしとはわざと目を合わせないよう意識しているのか

少しもこっちを見ようとはせず、ただ普通に笑って男子たちと話す直哉くんに、

わたしはしばらくの間
黙ってその様子を見つめていたあと、うつむいた。


「……」



“やっぱり、悩むよな。あんなこと言われたら”


“もう、加奈子ちゃんがイヤがるようなことしないから”


“誤解させるような事してごめん”
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