修学旅行★幼なじみと甘いキス
「――ハイ、お待ちどう!」


「おわっ来た!」

「うっまそ~♪」

「待ってました!」


ふいに今朝の直哉くんの言葉を思い出して
ギュッ…と自分の両手を握りしめていたそのとき


目の前をいきなりドンと

注文したラーメンのお椀が、わたしたちのいるテーブルへ次々と運ばれてきてドキッとする。


「全員分来た?」

「来た来た。あ、ハイ加奈子、おしぼり」

「あっありがと」


気がつけばあっという間に人数分のラーメンが出揃い、
相変わらずわたしだけポカンとあっけにとられていると

向かいでテキパキと動く詩織ちゃんから、おしぼりや割りばしを受け取った。



「やた♪ それじゃあさっそく皆で頂きますしよー!」



そう言って

なんだか一人、気遅れた感は拭えないながらも

とにかくわたしも急いであさみちゃん達と一緒にテーブルの前で手を合わせる。



「いっただっきまーす!」



そのあとすぐ、パキッ!と
勢いよくわりばしの割れる小気味のイイ音がして


次の瞬間にはもう、勇樹くん達が麺をすすってガッツき出してる中

自分もあわててラーメンに手をつけようとおハシを動かす。


そのままとっさに口へ運ぼうとしたその時



「お、いらっしゃい!」



突然――ガラッ!と入口の扉が開いて、誰かがお店に入ってきた。
< 361 / 473 >

この作品をシェア

pagetop