修学旅行★幼なじみと甘いキス


「……」




シーン…



「……あ、あの」



突如わたしが大声をあげたことで、その場の空気がとっさにシン…、と静まり返る。


みんなが驚いた表情でこっちを見上げて固まる中
わたしは一人ギュッ…とこぶしを握りしめると、勇気を出してこう言った。



「…わたしと翔は、ほんとにただの…、お、幼なじみというか。
たまたま家が隣同士だっただけで、特に仲が良かったわけでもないし、顔を合わせればケンカばかりで
実際は、ほとんどまともに話せたことすらないんです…」

「……」



ドクンドクン…



あまりの緊張で声が震える。

自分でも一体、何を言おうとしているのか分からない。


それでも、わたしは言うのを止めなかった。



「なのに、周りからはいつも翔とのことを誤解されて、比べられて…
今朝なんか…、話したこともない人に、影で笑われるようなことを言われてるのも聞きました」




“なのに何で高橋さんなんだろうね?”


“なんだかもったいな~い”



こんな話、今みんながいる前でわざわざ打ち明けだすなんて、
自分でも最低だと思った。


ひどいこと言ってるって分かってた。



でも、今さら止められなかったんだ。
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