修学旅行★幼なじみと甘いキス

「…これからちゃんと、言うんだよな」


そのことを思いだしたら、一気に涙が止まらなくなって
ひたすら声を押しころしたまま泣いてると
ふいに直哉くんがポツリと口を開いた。

思いがけないその一言に
わたしは泣きじゃくりながらも顔をあげる。


「…え?」

「今日これから加奈子ちゃんは広瀬くんにちゃんと、言うんだろ?
好きって」

「!」



あ……




直哉くんの言葉に、一瞬心臓がドキッとしながらも

しばらくして、わたしは大きくコクッ…とうなずいてみせた。




「……うん」



言う。

翔が好きって、ちゃんと伝える。



“だからわたしは翔のこと、別に何とも思ってない”


“俺、先ホテル戻るわ”


“待って翔くん…!”



…もしかしたらもう、遅いかもしれない。

いまさら好きって気づいたところで、もう手遅れかもしれないけど…



――それでもちゃんと伝えたい。



心ない言葉で簡単に傷つけてしまった事や、今までのこと。


そして自分も、同じように意地を張り続けてきたことを、


会って謝りたいんだ。
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