修学旅行★幼なじみと甘いキス
「3055室になります」
内心、心に引っかかりを予感しつつも
ホテルのフロントで手続きを済ませたわたしたちは
直哉くんら男子組とは途中の階で別れ、
残った女子組はエレベーターに乗りこんだまま、その更に上の階へとあがって降りる。
「う~んウチラの部屋どこだろ?」
「ここ?」
「そこでいんじゃない?」
赤いじゅうたんで敷きつめられた横長い廊下を、何度も迷って一周したあと
ようやくたどり着いた部屋の前でおそるおそるカードキーを差し込み、オートロックを外す。
―ピッ
ガチャ
「うわっ!すごっ!キレー!」
そのままドアをガチャリと開け、中をのぞいてみると
室内の様子は、外国を思わせるような広い落ち着いた色のベッドに、
窓際にはゆったりと一人分くつろげるくらいのシングルソファと、オシャレな形をしたセットのローテーブル。
そしてなんと言っても、そのすぐ脇の窓からは30階からの景色が全面一望でき、
しかも浴室には泡まで出てくるユニットバスまで付いていて
昨晩止まった宿舎の旅館とはまた違い、いかにも洋風を感じさせるエレガントな雰囲気に、
ホテルでの宿泊を誰よりも一番楽しみにしていた様子のあさみちゃんは、目をキラキラと輝かせている。
「あたし、一度でいいからこうゆう
おっきくてふっかふかのベッドで寝てみたかったんだよね~!」
そう言って、ぼすん!と勢いよく目の前のベッドへダイブしたかと思うと、
その感触を確かめるように、大の字になってキャッキャ寝転ぶ。
そのままひとしきり手足をバタつかせていたあと
どうしたのか、あさみちゃんが突然ハァとため息まじりにこんなことを呟いた。