修学旅行★幼なじみと甘いキス

“おまえたち、今までどこ行ってたんだ?!探したぞ!”

“とにかく無事でよかった”



その後、わたしたちが下におりてきた頃には、もうとっくにキャンプファイヤーは終わっていて

二人してホテルから戻ってこなかったわたしたちは当然、小崎先生や他の先生たちに心配され、こっぴどく叱られながらも

イベント後の後片付けなどは誰よりも率先して手伝うということを理由に
何とかその場は自分たちの部屋に帰ってもいいことを許された。



「(コソ…)お、おおい広瀬;
ま、まさかとは思うが、…ふ、二人っきりのホテルで高橋に…手、手でも出してたんじゃないだろうな?!
(も、もしそれが事実なら双方の親御さんになんて説明すれば;)」

「…や、マジで出してねっすよ(手は)」



…春野先生は面倒だとぼやいていた仕事が一段落したことで
またいつものタバコでもどこかへ吸いに行ったのかもしれない。

当たりをキョロキョロと見回してみても、春野先生らしき人物の姿はどこにも見当たらなかった。



側では生活指導の先生が何やらホッ、と深いため息をついた様子の中

なにくわぬ表情で後片付けを進める翔とふいにバッタリ目が合い、

ビックリしたわたしは思わず「!」と顔が赤くなりながらも、少ししてお互いどこか意味深に微笑みあう。



「……」



トクン、トクン……



“っ…加奈子…”

“…っ?”

“き、好きだ…”




今夜あったことはきっと、誰にも言えない。


今日も明日もこれから先もずっと

翔とわたしの、二人だけのヒミツ。



…と、思っていた。

そう思っていたのに。





「あっ!加奈子おっかえりー♪そして委員のお仕事おつかれさまー!」



どこか照れくさい感情をひた隠しながらも、

無事、後片付けを終えたわたしは、わざわざ部屋の前まで送ってくれた翔に手をふり、


内心ドキマギした気持ちでドアノブを開けると
くったくのない笑顔を向けたあさみちゃんがさっそくダダダッ!と走って出迎えてくれた。



「た、ただいま」

「ふふふ!とかゆって今まで広瀬くんとラブラブしてたんでしょ♪ねね、どーだったっ?」



………。



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