修学旅行★幼なじみと甘いキス
へ………
“修学旅行初日の夜、館内の304号室を見回りに来たのは、このアタシだから”
“つーか誰だよ今の見回り。
ものすごい爆音あげて入ってくっから、マジ心臓止まっかと思ったし;”
“フツーもっと静かに来るもんだよなぁ”
そ、それじゃあ、あのとき…
健くんや、他の男子たちもみんな一緒に隠れてたあの304号室で、
いきなり物凄い音をあげて部屋に入ってきたのは――春野先生だったんだ!
(た、たしかに今考えると、ふすまの開け方とかヒールとか、春野先生と思える行動がいっぱい…;)
「あらどうしたの?そんな青ざめた顔して。
別にやましい事が一つもないのなら
その時間、女子の高橋さんは上の階の和室で、すでに眠っていたはずでしょう?」
―それとも何か
あたしに知られちゃマズイことでも、あるの?
本当はあのとき、女子であるわたしも、
男子たちが泊まるあの部屋で、翔と同じ布団に隠れていたことをおそらく知っているはずなのに
わざとそしらぬ顔をして、ニコリと微笑む先生に、わたしは返す言葉を失う。
そのまましばらくガタガタ震えていると
何を思ったのか、突然先生がフッと小さなため息をもらした。
「…なんてね。本当は、こんなことを言うために
わざわざあなたをここへ呼び出したんじゃないの」
「! え?」
「ほらあの子…広瀬くんのことよ。
その様子からすると、ようやく和解できたみたいね。あなた達」