修学旅行★幼なじみと甘いキス
「…あぁ、あれね。
広瀬くんの方自身が、あなたにそのことを知られたくないようだったから、わざとトボけたフリしちゃった。
ごめんね」

「……」

「って、ヤッベ;時間」


マズったようにそうつぶやいて
部屋では今も茫然と立ちすくむわたしに

バタバタと急いで支度を終えた様子の先生は
去り際――どこか思い出したようにこう口を開いた。


「…あー、あとねそうそう。
あたしが保健室に戻ってきたとき、ちょうど彼があなたの制服を脱がそうとしてるのも見たわよー」

「!?」

「あ、別に変な意味じゃなくてね?
息がしずらくて寝苦しそうにしていたから、彼なりにあなたが眠りやすいよう第二ボタンまで外してあげようとしたみたい。
ま、あたしは一応
“保健医という立場”として厳重に注意しといたけど。
…でもおかげでよく眠れたでしょ?」



! あ……



“まぁここを留守にしてたあたしが悪いんだけど。
…ねぇそれより大丈夫?さっきからココ、乱れてるわよ”



このとき、とっさにあのときの春野先生の言葉を思い出してわたしは目を見開く。


そしてしばらくの間
何も答えられず黙っていたあと、素直にコクン…とうなずいた。
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