修学旅行★幼なじみと甘いキス
「…つうかさ、そこまで気にしなくてもいんじゃね」

「え?」

「たしかに、三浦にはハンパなことしたと思ってる。
しかもそれで俺が加奈子と付き合うようになったのを思えば、そりゃちょっとは微妙んなるだろうし、罪悪感感じんのも分かっけど…。
だからって俺らまで一緒に暗くなる必要なくね?
これじゃ、あの三浦や新垣が何のために俺らから身を引いてくれたのか分かんねーし、
今はあの二人の分まで、俺らがもっと明るくなるべきなんじゃねぇの」


よく分かんねーけど……



そう言ったきり黙り込んでしまった翔に、わたしは何も言えなくなる。


「……」


――たしかに、翔の言う通りだ…。


いつまでも気にしていたって仕方がない。


何よりもわたしは今、目の前にいる翔のことを誰よりも一番
大切にするべきなんだ。


昨日までお互い、少しも素直で居られなかった分

これからはちゃんと、ふたり笑って向き合いたい。


「そっか、うん。そだね…」

「――それに、俺は今加奈子と一緒に居れるようになって
ぶっちゃけスゲー嬉しんだけど」

「…!」

「でもなんか俺だけみてーじゃん…、夢かと思って浮かれてんの」


翔の口から出たとは思えないような仰天発言に
わたしはビックリして目を丸くする。


こうしている今も
翔本人は必死に照れを隠したいのか、かたくなにこっちを振り向かないままで。

それを見たわたしも思わず顔をボッ!と赤く染めると、慌ててうつむいた。
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