彼女にキスの花束を
恋文
ガシャン
あっても意味のないような靴箱の鍵をあけ靴をとろう手を伸ばす。
「あ。」
「どうした、旭。」
「なんでもないよ悠斗。」
靴箱の上段には紫色の蝶々にあわい水玉模様があしらってある封筒がはいっていた。
そこに可愛らしい女の子特有の丸みを帯びた字でかかれていたのは
「宮田 旭様」
という文字だった。
あまりにもいきなりのことで僕は焦り、悠斗に嘘をついてしまった。
「なんか隠してないか?」
「隠してない、隠してない。」
「あれ?その封筒…」
「え?!嘘!」
僕は咄嗟に自分の手にとった封筒をチラリと見る。
……見えて、た?
「旭わかりやすすぎ。顔赤いし。」
悠斗の顔はしめた。と言わんばかり…
え、もしかして…
「はめた?!」
「あんなのにはまる旭が悪い。」
「鎌かけるなぁぁぁああ」
僕の叫びは昇降口にもの凄く反響し、いつまでも響いていた。