彼女にキスの花束を
なんでこんなに階段がないんだ...
僕は心の準備ができないまま踊り場の少し手前まできてしまった。
あの先をまがった所に…
僕の手は知らないうちに固く握りしめ、中はうっすらと汗ばんでいた。
緊張しすぎて笑えてくる。
僕は一気に踏み出した。
………。
いないというね。
僕は一言いいたい。
期待返せ!!!!
バカヤロー!!!!!
はぁ、なんか力抜けた。
肩張ってて馬鹿みたいだ。
「…あ、あのっ」
ビクッ!!
「お、遅くなってごめんなさい」
後ろを振り向くと肩よりも下に垂れ下がるつやのいい髪が目に入った。
見覚えがある。
間違いなく「白雪姫」
肩で呼吸してる。
急いで来てくれたのか…
てか、てか、てか!!
ちょっと聞いてくださいよ。
僕、初めてこんなに近づいたのね。したら、かなり甘いにおいがするんだけど。
別に匂いフェチとかじゃないよ。
でもこんなにいい香りかいだことないんだって。
体育の終わりとかに女子がシー〇リー〇とか〇イト・〇ォーとかの匂いが混じって物凄く嫌だったんだけどそんなんじゃない。
「え…ごめっ匂う?体育終わりだったから…」
いやいや。逆にいい匂いすぎて…
「そんなことないよ。」