【完】アニキ、ときどきキス
子ども達の列の前に立つ。

だけどどうしたことだろう。

子ども達は眉をしかめ、隣同士ヒソヒソ話しをしている。
私が担任で嬉しくないのかな・・・・・・?


「あの、北原先生」


一番前にいた女の子が、口に手をあて、こっそりと話しかける。


「ん?何?」


私は身をかがめて、その子の口元に耳をあてる。


「ここ6年3組です。
6年2組はこっち・・・・・・」


「え・・・・・・?」


その子が指を指した先に誰もいなかった。
スッキリと抜けた列。


「だって、ここ誰もいないよ?」


「いえ、いるんです」


「どういう・・・・・・こと?」


「あ・・・・・・」


女の子は気まずそうに口をつぐんだ。



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