【完】アニキ、ときどきキス
「す、すみませんっ」


山田先生は鎖骨に当てていた人差し指を、さっと自分の方へ戻した。


「やっぱり僕、どうしようもないくらい北原先生の事が好きです」


「山田先生・・・・・・」


「学校にいる間だけは、それ隠して下さい。
やっぱり、そういうのは見たくないもんですね」


山田先生は眉を下げながら寂しげに笑うと、私を強く抱きしめた。


突然の出来事で私は身動き一つ出来なかった。



「好きです」



山田先生はもう一度だけその言葉を呟くと、私の体を離し、職員室から出て行った。




手鏡を取り出し、山田先生が触れた所を確かめる。


「キスマーク・・・・・・」


そこにあったのは、昨日の新君とのキスでついた、キスマークだった。


山田先生のジャージは少しだけ暖かくて・・・・・・。

その暖かさが余計に辛かった。


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