【完】アニキ、ときどきキス
トゥルルルル、トゥルルルル


その時、職員室の電話が鳴った。

慌てて電話に駆け寄り、受話器を取る。


「おはようございます。
若宮小学校北原です」


『・・・・・・』


受話器の向こうで続く無言。


「もしもし?」


『北原先生です、か?』


「はい」


『私、穂高の母親ですが』


「はい、いつもお世話になっております」


『・・・・・・』


また無言。

顔をつきあわせていないのに、なんだろう。
この妙な緊張感は・・・・・・。


私の心がザワっと音を立てた。



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