【完】アニキ、ときどきキス
「では、退場です。
担任の先生に続いて教室に戻って下さい」


戻って下さいって・・・・・・私には一緒に戻ってくれる子ども達がいない。


「北原先生、ちょっと・・・・・・」


呆然と立ちつくしていると、校長先生に呼ばれた。

私は校長先生の手招きに引き寄せられるように体を寄せた。


「あの・・・・・・」


私の不安気な表情を見た校長先生は、申し訳なさそうに眉を下げ口をへの字に曲げた。


「北原先生が担任する6年2組なんだがね・・・・・・」


「はい・・・・・・」


校長先生は言いにくそうに私から視線をそらす。

私はゴクリと喉をならし、校長先生の言葉を待った。



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