【完】アニキ、ときどきキス
「遥さん?」

私は机の上に立っている女の子を見上げた。

前髪をちょんまげのように結い、怒りで顔を真っ赤にした女の子。


「それは、本当?」


私は立ち上がり、遥と呼ばれた少女の腕にそっと触れた。


「・・・・・・」


その子は何も答えず、一点を見つめたまま、フーフーと息を整えている。

怒りで震えているのか・・・・・・体が小さく震えていた。


「ねえ、答えてくれないと分からないよ?」


「・・・・・・んな」


「え?」


「触んな!
何も知らないくせに!」


パンッ!!


遥は私の手を勢いよく払いのけ、机から飛び降りると教室から出て行ってしまった。


< 15 / 231 >

この作品をシェア

pagetop