【完】アニキ、ときどきキス
私の目から涙がポロポロと落ちてくる。


「北原先生」


山田先生が心配そうに、私の顔を覗き込む。


「ヒック、うぅ・・・ごめ、なさい」


「北原先生」


私の体が、山田先生にふわりと包まれる。

山田先生が助手席のレバーを倒し、シートをゆっくりと倒す。


「山、田先生・・・・・・?」


「こうしていたら見えない。
辛かったらみなきゃいいじゃないですか?」


「そう、ですね・・・・・・」


私は両手で、目を覆った。


「でも北原先生」


山田先生の手がそっと私の手に重なる。

そして優しく、私の手を左右によけた。



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