【完】アニキ、ときどきキス
「僕だけは、見てくれませんか?」


山田先生の顔がゆっくりと近づく。


「っん・・・・・・!」


山田先生の唇が、私の唇に優しく重なる。

そしてゆっくり離れる。


「無理矢理なんて嫌でしたけど、こんな北原先生見たら、無理矢理でも奪っちゃいたくなりますよ?」


心臓が高鳴る。
呼吸も速くなってくる。


どうしよう、上手く声が出ない。


山田先生はそんな私の様子を察したのか、ニコっと少しだけ微笑むと、私から体を離し、車を走らせた。


「今日は、真っ直ぐ家に帰りましょう」


山田先生はそれだけ言うと、後は何も言わなかった。


私はもう一度両手で目を覆った。


< 154 / 231 >

この作品をシェア

pagetop