【完】アニキ、ときどきキス
北原さんは、ブンブン手を振りながら、俺にグングン迫ってくる。


「えへへ!追いついた」


「はやっ!」


「まあ、これでも長距離選手なんで」


北原さんはニカっと笑って、俺にVサインを向ける。


そっか、そういえば・・・北原さん、よく全校朝会で表彰されてたっけ。

帰宅部の俺なんかとは雲泥の差なわけだ。


「よし、じゃあ一緒に行こう!」


北原さんが、俺の背中を両手で押す。

俺は北原さんと一緒にゴールまで走った。


背中から伝わる、北原さんの応援。
重かった足が、なんだか軽く感じた。


「ふう。お疲れ!」


「ハァハァ、ゲホッ!お、つかれ」


北原さんは、もう息があがってない。
晴れ渡る空を見上げながら、袖口で汗を拭っている。


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