【完】アニキ、ときどきキス
その後は淡々と授業が進んだ。

やんちゃという言葉とはほど遠い。
私の質問に子ども達は素直に応じ答え、一日はスムーズに流れた。


このクラスがやんちゃと言われる原因はやはり、教室を出て行ったあの二人・・・・・・?

誰もいなくなった教室の教卓に座りながら、二人の名前を名簿で確認する。


あの後、穂高が二人の名前を教えてくれた。


「七瀬(ななせ)遥と伊高直太朗(いこうなおたろう)か・・・・・・」

家庭調査票を開いて二人のことを確認してみる。

直太朗の方は特別家庭環境が悪いというわけではない。


「金髪・・・・・・生まれつきなんだ」


何も知らず、金髪に驚いてしまった自分が恥ずかしい。


直太朗傷ついたよね・・・・・・。


「遥は・・・・・・兄だけ?」


遥の家族の欄には、兄の名前しかなかった。


「七瀬新・・・あ、ら、た・・・・・・」


その名前を見て心臓がドクンと跳ねた。




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