【完】アニキ、ときどきキス
本棚の影になっているところを覗くと、そこには涙を流しながらしゃがみ込んでいる北原さんの姿があった。


「どうしたの?」


俺は北原さんの隣にしゃがみこんだ。


「なんでもないっ、へへ」


北原さんは、涙をグイっと手で拭うと、俺にヘラっと笑顔を向けた。


胸が締め付けられるように痛い。
なんだろう、この気持ちは。



俺は吸い付けられるように、北原さんの唇にキスをした。

なんでこんなことをしてしまったのか自分でも分からない。


あの時、北原さんもこの時の俺と同じ気持ちだったのかな?


同情?
泣いている北原さんが可哀想だから・・・・・・?


いや、違う。
同情なんかじゃない。



俺は北原さんが好きなんだ。



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