【完】アニキ、ときどきキス
北原さんは、ビックリしたように俺を見つめている。


「あの、北原さん。
俺・・・・・・」


自分の気持ちを告げようとしたその時だ。

北原さんは立ち上がると、図書室から飛び出していってしまった。


タッタッタ・・・・・・


遠くなる足音。

俺はその足音を聞きながら、思ったんだ。


北原さんがキスしたのは、同情だったんだって。

好きだったら逃げるはずないから・・・・・・。



俺と北原さんはそれ以来、何も話すことがないまま、小学校を卒業した。

北原さんが転校したということを知ったのは、中学に入学してしばらくしてからだった。




そして14年後。

俺たちは再会した。


あの時、俺の前から去っていった北原さんは今、俺の目の前であの時と同じように、口を開けて幸せそうに眠っている。


「ッブ!やっぱ面白いわ」


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