【完】アニキ、ときどきキス
放課後。

いつもより早く仕事が終わった私は、荷物をまとめて玄関を出た。

グラウンドでサッカーの練習を見ていた山田先生が私に気づき、駆け寄ってくる。


「北原先生、今帰りですか?」


「はい」


「待っててください、送っていきますから!」


「あっ」


私が断ろうとする前に、山田先生はニッコリ笑い、車へ向かって駆けだしていってしまった。


私のために、真っ直ぐに駆けていってくれることを、嬉しく感じてしまう。

私は高鳴る胸をキュっと押さえた。

< 179 / 231 >

この作品をシェア

pagetop