【完】アニキ、ときどきキス
「そんなわけないよね。
苗字だって違うし」

私は家庭調査票のファイルをパタリと閉じた。


***


職員室に入ると山田先生が私に気づき話しかけてきた。


「北原先生。
なかなか上から降りてこないから、心配してたんですよ。
任されたの大変なクラスだったって、聞きました」


私のこと気にかけてくれたんだ。

私の胸はキュンとした。
ちょっとしたことがとても嬉しかった。


「気にかけて下さってありがとうございます。
気になる子はいましたけど、そこまで大変ではなかったですよ?
みんな、私の話よく聞いてくれましたし」


「そうなんですか。
良かったですね」


「え!?」


山田先生は私の手をギュウっと握り、満面の笑顔を向けた。

私は突然のことで頭がパニックになった。



< 18 / 231 >

この作品をシェア

pagetop