【完】アニキ、ときどきキス
運転する山田先生の横顔を見つめる。

山田先生が私の視線に気づき、「ん?」と言って微笑みながら、私の顔をチラリと覗き見る。

私は慌てて顔を前に戻した。


「ごめんなさい」


「いえ、僕は嬉しいですけど」


そう言って照れて笑う山田先生を見ていると、私まで照れてしまう。

山田先生のほんわりとした空気に飲まれるような気分になった。


「あ、山田先生ここで」


新君のアパートの前に来たところで、私は山田先生にストップをかけた。


「え?どうして?」


「遥が待ってますから。
・・・新君のことと遥のことは関係ないですから」


「そうですか」


山田先生は戸惑いながらも、車のロックを開けた。



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