【完】アニキ、ときどきキス
「じゃあ、ありがとうございました」


私は車から降りて、運転席側に周り、山田先生にお礼を言った。


「あ」


山田先生が何かに気づき、車のドアをあけ、車から降りた。


「山田先生?」


山田先生は、私の後ろをキッと見つめる。

私は何がなんだか分からず、山田先生の視線を追って、後ろを振り向いた。


「あ・・・・・・」


そこにいたのはスーツに身を包んだ新君だった。

時間が早かったため、新君の出勤時間と被ってしまったのだ。


「新君・・・・・・」


新君の視線は私に向けられていない。

私の後ろにいる山田先生に向けられていた。


「お前、あの時の・・・・・・」


ピンと張りつめた空気が二人の間を流れる。


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