【完】アニキ、ときどきキス
「特に新は、遥のために大学やめてまで働いて・・・そして、俺たちのためにホストまでして」


「借金返すために、ですか?」


「それもあるんだけど、美帆の留学費用は、新がほとんど出しているようなもんだ」


「え!?」


「美帆が俺たちのせいで、夢を諦めるのは間違ってるって言って、懸命に働いてくれたんだ」


「そうなんですか・・・・・・」


「バカだよな。七瀬は。
あんなにいい子おいて逃げちまうなんて」


「あ、あの。
尾崎さんは、その・・・・・・」


「ああ、新の父親は俺の親友なんだ。
昔は美帆と一緒に遊びに行ったり・・・楽しかったんだけどな」


尾崎さんは遠い目をしながら、懐かしそうに笑っている。



それを見ていたら涙がこぼれた。

新君は今まで、そうしたことを全部抱えて必死に働いていたんだと思うと、辛かった。

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