【完】アニキ、ときどきキス
そうは遥に言われたものの、やっぱり心配だった私たちは、結局どこにも出かけず近くの私のアパートでしばらく時間を潰すことになった。


「なんか、遥大人になったな・・・昔はよく泣きついてきたのに」


新君が寂しそうに呟いた。


「女の子って、大人びてるからね。
今日だってさ・・・」


私は新君に今日あった学校での出来事を話した。

それを笑って、ウンウンと聞く新君。


「あ、ごめん。
なんだか私ばっかり話しちゃったね」


「ううん。俺は楽しいけど?」


新君は優しく微笑む。


「学校って楽しい?」


「うん。楽しいよ。
笑えなかった子ども達が、笑ったとき、私は何よりも嬉しいって思う」


「そうなんだ」


新君は頷く。


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