【完】アニキ、ときどきキス
職員室に行くと、いつものように山田先生が笑顔で私を迎えた。


「北原先生、おはようございます」


「おはようございます」


「袴、素敵ですよ」


「ありがとうございます」


山田先生がコーヒーを入れて渡してくれた。


「いよいよ、今日ですね」


「はい」


私は唇につけた口紅が落ちないように、そっとカップに唇を当てる。


「あんなに、大変だと言われたクラスを一年間。お疲れ様でした」


「大変か・・・楽しかったですけどね」


「それは北原先生が、子どものことしっかり分かってあげられたからですよ」


「よくぶつかってくる子ほど、分かり合えるんだと思います。
・・・・・・さてと」


私はカップを洗ってキュッと拭き、職員室の扉を開け、6年2組へと向かった。



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