【完】アニキ、ときどきキス
今日は新君が帰ってくる日。

私は図書室で待っている。


「望」


新君が図書室に入ってくる。


「新君」


私は振り返り、新君に駆け寄る。


「校長先生の話って結構長いのな。
俺、これから毎日付き合っていかなきゃならないって考えると、不安だよ」


新君はぐったりした表情を浮かべ、ネクタイをグイグイと緩めた。


「・・・なんだか不思議。
またこうして一緒の学校通えるなんて」


「俺も。
まさかこの学校に赴任になるなんて思わなかった」


新君はハハっと笑った。



新君はあれから、元々通っていた宮城の大学に復学し、ずっとなりたかった小学校教師の夢を叶えた。



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