【完】アニキ、ときどきキス
「す、すいません!
ボーっとしていてっ!」


慌てて椅子を起こし、声をかけた人を見上げた。


・・・・・・か、格好いい・・・・・・。


そこにいたのは、スーツ姿の長身の男の人だった。

黒髪の短髪がワックスで無造作にセットされている。

筋が通った鼻に薄い唇。


細身のスーツがとても映える。

私は見惚れてしまっていた。


「北原先生・・・・・・ですか?
私、遥の兄ですが」


「あ、はい!北原です!こちらにどうぞ」


私はペコリと頭を下げ、遥のお兄さんを応接室に案内した。


応接室に案内された遥のお兄さんはネクタイを緩め、首をクルクルと回した。


なんか色っぽい・・・・・・そんなことを考えながら、お茶を差し出す。


「どうぞ」


「ありがとうございます」


うわ・・・・・・湯飲みが小さく見える。

遥のお兄さんは片手で湯飲みをひょいっとつまむように持ち上げると、あっという間にくいっと飲み干してしまった。



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