【完】アニキ、ときどきキス
私が黙っていると、新君は何も言わず玄関に置いてある革靴をはき始めた。

玄関を出て行こうとする新君。


「あ・・・・・・」


新君が私の声に気づき振り返る。


「北原さん。
北原さんは変わってない。
俺が何も言わなくても気づいてくれた」


「え?
・・・・・・気づく?」


「うん。
俺、昔は言えなかったけど、そんな北原さんが大好きだったよ」


「新君・・・・・・」


「それじゃあ。
今日家に帰ったら遥と話ししてみる。
何か分かったらまた連絡するから」


「う、うん」


新君は私が頷いたのを見届けると、去っていった。


私は唇にそっと手を当てた。



まだキスの感触が残る唇に・・・・・・。


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