【完】アニキ、ときどきキス
14年ぶりに感じた唇の感触は、あの時感じた新君のものではなかった。


「町屋新君」


昔の新君の名前。

14年の間にあなたは苗字が変わっていて、12歳の遥という妹が出来ていた。


兄妹二人だけの家族。

新君の変化と、そのことが切っても切れない関係に思えて仕方なかった。


新君のことを知りたい。
そう思った。


新君のことを知ることで、遥のことも知れるような気がした。


***


次の日の朝、学校に歩いて向かっていると、見覚えのある二人組の後ろ姿が目に入った。


ちょんまげと金髪。
遥と直太朗だった。


「良かった。
二人とも学校に来たんだ」


私は二人に駆け寄った。


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