【完】アニキ、ときどきキス
「遥、直太朗!おはよう」


二人の間に割り込み、肩を抱き、笑顔をおくった。


「お、はようございます・・・・・・」


直太朗は驚きの表情を見せたが、案外素直にあいさつを返してくれた。

直太朗、結構いい子なのかも。


「・・・・・・ウザ」


遥はというと、昨日の調子。

私の腕をなぎ払うようにのけると、スタスタと先に歩いていってしまった。


「ま、こんなもんか」


私はフウとため息をついた。

その様子を直太朗が首をかしげて見つめている。


「ん?何?」


「いや、先生変わってるなと思って」


「変わってる?どうして?」


「遥に話しかける先生なんて、いないからね。
昨日の遥見てびびらないなんて・・・・・・ちょっと見直したかも」


直太朗はにんまりと微笑んで、遥の後ろを追っていった。


「そう・・・なんだ」


遥と直太朗の後ろ姿を見つめながら、遥の心の傷が見えたような気がした。



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