【完】アニキ、ときどきキス
私は遥の足下に落ちていた、ボロボロになった教科書やノートを拾った。


「遥?これは遥のもの?」


さっきまでのやりとりを見ていて、遥のものだとは分かっていたが、あえて聞いてみた。


「・・・・・・」


遥は何も言わず俯いたまま。


「北原先生。それは遥さんのですわ。
嫌なことがあったみたいで・・・・・・自分で破いてしまったんですわ」


心配そうな表情を浮かべ私に訴えてくる穂高。


この子・・・・・・。


「遥本当なの?」

遥は何も言わないままコクンと頷いた。


「・・・・・・私がやった。
むかついたことあったから」


遥は絞り出すような声で呟いた。


「どうして、嘘つくの?」


私は遥の隣にしゃがみ込み、顔を覗き込んだ。

遥は驚いたように目を見開き、私を見つめる。


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