【完】アニキ、ときどきキス
「ごめんね」


新君は寂しそうに微笑むとポケットにしまっていた眼鏡をかけた。


「仕事中はかけないの?」


「あ、うん。
かけないほうが何かと便利だから」


「便、利?」


「・・・・・・ごめん。
気にしないで」


新君はそう言って、もう一度椅子に座り直した。


「ところで遥のことだけど、今日話し聞いたよ?
遥と直太朗のことかばって無視されてるって?」


「うん。
けど遥と直太朗の今までの苦しみに比べたら・・・・・・平気」


そう呟いた時だった。


チュ。


私の唇がまた新君に奪われる。

だけど昨日とは違う、優しいキス。


新君の髪の毛がおでこをふわっとなぞってくすぐったい。



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