【完】アニキ、ときどきキス
スーパーに入り、私が向かった場所は化粧品などが置いてあるスペース。


昨日、遥が万引きしたものは、ポケットに入れてもばれずにすむような小さなリップクリームだった。


だとすれば・・・・・・!


「遥・・・・・・!」


化粧品が置いてある通りの奥。
遥が口紅をジッと見つめていた。

私は隠れてその様子を見守った。

遥は周りをキョロキョロと確認している。


遥・・・お願い!!


そんな願いも空しく、遥は口紅に手を伸ばし、何事もないようにスルリとそれをポケットの中にしまい込んだ。

立ち去ろうとする遥。


私は遥の元に駆け寄り、遥の手首を掴んだ。

遥はビクっと肩をすくませおそるおそる振り向いた。


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