君の詩を聴かせて
そう言った先生の目はとても悲し気で、少し後悔した。
俺も円香にそんな思いさせたのかもしれない。
いや…きっと、させてしまったんだ。
ごめんな…円香。
「そんな暗い顔してないで、後悔してるんなら謝ってきなさいっ」
先生が俺の背中を押す。
謝りたいけど…気まずいなぁ。
たぶん、目ぇ真っ赤に泣き腫らしてるんだろうし…。
ふと窓の外を見ると、桜の木が揺れていた。
花はまだ咲かない。
あと2ヶ月後…俺たちが卒業する頃に咲くんだ。
何も変わらないのは俺だけ。
見つめる先で、1枚だけ繋がっていた葉が空に舞った。
離れた葉は…もう、戻らない。