君の詩を聴かせて



「大和さ、コーヒーは大丈夫だよね?」

「うん、今年も楽しみにしてる」

「ふふ、うん」


 きっと、今年が最後だから。

 高校に入ったら会わなくなるし、話すこともなくなる。

 そしたらチョコももらわなくなるんだろう。

 …俺が死んだら意味は変わるけどね。


「そう言えば本命にはあげないの?」

「え!?あ、あげるけど…っ」

「ふーん、そう。頑張って」


 恋のうた…恋に励むうた。

 …うーん、俺には作れなさそうだ。

 そこで、いつものT字路に出た。


「じゃあまた明日」

「うん…またね」


 手を振って、ゆっくり歩き出した。

 後ろでドアが開閉する音を聞いてペースを上げる。

 こんな日常も…あと少しで、終わる。







―――――







「ふあああぁぁ…」


 大きな欠伸を1つ。

 あー眠い。

 夜更かしして2曲作ったからかな…。

 まあ、詞だけだけど。

 ふと靴箱を見ると、押し込まれた色とりどりの箱。

 ああ…祥次宛か。



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