君の詩を聴かせて



「ってうおっ!
 また大和の仕業かよ!」

「うわー、女の子可哀想…」


 ふむ、典型的なトガリネズミ…。

 体長4〜5センチか…。


「もう、大和!」

「…おはよう、何?」


 取り上げられた『世界ほ乳類図鑑DX』を目で追いながら言う。

 そんなに乱暴に扱ってほしくないんだけど…。

 コビトジャコウネズミが…。


「あのね!ほ乳類なんかじゃなく、人間見なさい!
 可哀想でしょ!?」

「人間もほ乳類だよ」

「そうだけど…!
 プレゼント渡すほ乳類は人間以外にいないでしょ!?」

「そうかな?実際には…」

「とにかく!これは大和宛だ。
 俺に押し付けんなっ!」


 ビシッと山に指を指しながら言う祥次。

 何の山って、チョコのね。

 うわ、空気が茶色く見える。

 あ、幻覚か。


「いらないよ、応えるつもりないし。
 円香のでじゅーぶん」


 あーあ、こんなこと言うつもりなかったのに。

 だって、ろくに知りもしない人からの物なんて食べたくないし。

 きっと、甘いんだろうし。



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