君の詩を聴かせて



 だったら甘いの嫌いって知ってる円香のだけでいいのに。


「円香は俺が受け取ってもいいの?」


 じっと、円香の目を見つめる。

 具合悪くなった俺を介抱するのは円香なんだけど。


「っそ、そういうこと言うの反則…!」

「…え、何が?」

「こいつ意味わかってねぇよ…」


 赤くなった円香と呆れた祥次。

 とりあえず本返してほしい。

 もうすぐ朝読の時間だし。


「もう…、はい大和。
 ちゃんとブラックで作ったからね」

「ありがとう円香」


 受け取ったのはシックなブラウンの包装紙に金のリボンで包まれた箱。

 ほんとに店出しちゃえばいいのに。

 絶対儲かると思うんだけどなぁ…。

 円香の毎年凄いし。


「っ…ど、どういたしまして…」

「うん」







 それから手渡されたチョコは祥次にあげた。

 呆れた顔で見られたけど気にしなーい。

 俺甘いの嫌いなんだもん。

 好きなお菓子おつまみと干し梅だし。

 美味しいよねー、干し梅。

 昼休みに食べた円香のチョコは今年も最高だった。



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