君の詩を聴かせて



 首の汗を拭う。

 深呼吸して、そばに置いていた水を飲む。

 息を吐いてまたピックを握る。

 ただ何も考えずに歌いたかった。

 そのとき、雨が鼻に落ちてきた。

 ぼーっとしてる内に本降りになっていく。

 急いでアコギをしまって、雨宿りの為に駅に入る。

 もう何曲か歌いたかったんだけど…仕方ないか。

 目を閉じて壁に寄りかかる。

 視覚を閉ざしたせいか、聴覚が鋭くなった。

 断続的な雨音。

 頭の中でメロディが響いて…弾けた。

 ノートを開いて書き綴る。



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