君の詩を聴かせて



「――お兄ちゃん、何してんの?」

「……梨乃」


 不審そうに俺を見上げる失礼な女の子。


――蕪木 梨乃(カブラギ リノ)

 俺の妹。


「んー、雨宿り?」

「あっそ、お兄ちゃんってどんだけバカなの?
 てか間抜け?」


 俺とも悠史とも違う、毒舌キャラ。

 これで小5とかマセすぎてる。

 それともただ口悪いだけか。

 冷静だから少し、俺寄りかもしれないけど。

 俺はここまで毒舌じゃない、と思う。


「午後から降水確率80%だったのに、やっぱりバカじゃない?」

「はいはい、…梨乃は傘持ってるんだろ?
 早く帰んなよ」

「…お兄ちゃんはどうすんの?」


 拗ねたように口を尖らせて言う梨乃。

 心配してくれてんのかなぁ…可愛い。

 優しく頭を撫でる。

 昔からこうしたら機嫌直るんだよね。


「俺はいいから早く帰んな?
 母さんが心配する」

「別に…心配してなんて言ってないし」


 あれー、まだ拗ねてる?

 そろそろ扱いにくい年頃になってきたってことかなぁ。

 まあ、気にしないけどね。



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