君の詩を聴かせて



 ただの中学生(もう少しで高校生だけど)の歌を使うなんて。

 詐欺とかじゃないよな…。


「上の人の意見も聞かなきゃいけないからまだ決定ってわけじゃないんだけど、録音させてほしいんだ」

「…はあ」


 もうこれしか言えない。

 こんな上手い話が転がってるもんか?

 頭、混乱してきた…。


「もちろん決まったらギャラも払うし、デビューだってあるかも!」


 ギャラ……バイトが出来ない身としては、いいかもしれない。

 いくら貰えるかはわからないけど、貰えるんならいいよなぁ…。


「デビューとかはいいです、顔知られたくないし。
 ギャラだけ貰えれば」

「えっ、デビューいいの!?」

「はい」


 絶対面倒なことになるだろうし。


「でもきっと採用されればファンが出来るよ?」

「どーでもいいです、ドラマっていつやるんですか?」

「5月の始め頃だけど…ギャラもそのくらいかな」


 だったら、円香の誕生日にも間に合うかも。

 今はギクシャクしてるけど、貰った分は返さないと。



< 41 / 104 >

この作品をシェア

pagetop