君の詩を聴かせて



 どんなことがあったって、俺たちは幼なじみなんだから。


「じゃあ録音は後日するとして…いつがいいかな?」

「今春休みなんで、いつでもいいです」

「そう、明日でも?」

「はい」


 どーせ学校始まるまでは暇だし。

 課題も終わらせたしね。


「わかった、じゃあまた明日、10時にこの場所で」

「はい」

「一応歌作っといてね、明日はどんな歌でもいいから」

「わかりました」


 満足したように景山さんは去って行った。

 これがほんとに現実なのか…?

 夢なのかも。

 頬をつねったら、普通に痛い。

 現実なんだ…。







 録音は一発で終わった。

 歌ったのは、なんとなく君想い、涙。

 卒業式のことを思い出した。

 離任式以来、円香と会ってない。

 高校も逆方向だし、きっと松一のほうが遠いから家を出る時間も違う。

 これからほとんど会わなくなるんだ。

 幼なじみなんて、案外脆い関係だよな…。






―――――







 春休みも残すところあと数日。



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