君の詩を聴かせて



 俺は今日も、歌いに来ていた。

 定位置に着いて構える。


「ねぇ、名前何てゆーの!?」


 声をかけられて顔を上げると、女の子がいた。

 多分俺と同い年くらいの、結構ギャル系な子。

 円香と正反対だな…。


「大和、ですけど」

「大和かー、いい名前じゃんっ」

「どーも」


 このテンション、着いていけない。

 ギャルとか嫌いだし。

 ピックで弦を弾く。


「あのさーアタシの相談聞いてくんない?」

「相談?」

「うん!」


 何で俺が…。

 初対面なのに。


「あんたの歌、歌詞めっちゃいいからさ!
 いい考え持ってんだろーなーって思って」

「はあ…」


 そりゃただのギャルよりはまともなつもりだけど。

 でも相談って、普通友だちにするもんじゃないの?


「ねっお願い!」

「…たまにならいいけど」

「やったー!」


 ああ…ほんと、俺って押しに弱い…。

 まあ悩んでるみたいだし…仕方ないよなぁ…。

 歌詞褒めてくれたのは嬉しかったし。



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