君の詩を聴かせて
――柏木 琉愛
みんながグループを作るなか、俺と同じく1人でいる子。
「…どうしてそのこと知ってるの」
「…『世界ほ乳類図鑑DX』に載ってた」
まるで背中に電流が流れてきたみたいだった。
まさか…俺以外の、しかも女の子が読んでたなんて。
「俺も読んだ…よ」
「…本当?」
無関心だった目が輝き出す。
多分、俺の目も輝いてる。
だってまさか俺と同じ考えを持つ人が居たなんて!
「私、柏木 琉愛。君は?」
「蕪木 大和。大和でいいよ」
「やまと…私も琉愛でいい」
「わかった、琉愛ね」
静かに微笑み合った。
何の期待もしてなかったけど、琉愛がいるんならきっと楽しくなると思った。
多分琉愛も俺と同じだったんだ。
どうでもいい奴といるより、1人のほうがいい。
だから1人だったんだな…なんて考えたり。
「琉愛」
「…呼びにくそう」
確かに呼びにくい。
しかもルアーみたいだし。
「呼びにくいよ、でもこのちょっとギクシャクした感じが面白くて好き」
「…私もそう思う」