君の詩を聴かせて



 珍しい名前って、なんか好き。

 他の人とめったに被らないし。

 大和って名前の人も、俺以外会ったことない。


「琉愛って珍しい名前だよね」

「…うん」

「それに呼びにくいし」

「…だから呼ぶ人いない。
 大和だけ」


 へえ、俺だけなんだ…。

 まあ、クラスの人と関わってないし。

 あれ、そういえば俺らって図書委員じゃなかったっけ??

 何の因果だ…。


「そっか…頑張って呼び慣れる」

「…ばんがれ」

「え、ボケ?」


 俺もボケ派なんだけど…。

 ツッコミ役は祥次とか円香だったし。


「…そうとも言う」

「そうとしか言わないから」


 琉愛は俺よりマイペースそうだ。

 ってことはやっぱり、俺がツッコミなんだ…。

 困ったな…まさか俺がツッコミになるなんて。

 初めての体験だ…。


「…ナイス突っ込み」

「うわぁ、嬉しくないナイスだ」

「…むぅ」


 頬を膨らませる琉愛。

 ふ…ハムスターみたい。










 それから俺たちは一緒に行動するようになった。



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