君の詩を聴かせて
「…哺乳類は好きってわかるのに、人はわからないんだ」
「…琉愛だってそうでしょ」
「うん」
ほら、やっぱり。
俺は他の人とは違うんだ。
なんだろ…不思議系?
って、祥次が言ってたような気がする。
俺もってことは琉愛もなんだろう。
「…気付いてないだけで、心の中に誰かいるんだよ」
「……、」
無表情な琉愛の瞳。
それに写っている俺も、無表情だった。
心の中に…か。
そんな人、いないよ。
いたとしたら……いや、違う。
「…のど渇いた」
そう言って、琉愛は自販機に向かった。
その足取りは軽いんだけど、どうにも遅すぎる。
脚が悪いとかじゃなくて、多分性格的なもの。
琉愛を動物に例えたらナマケモノなんじゃ…なんて。
だってマイペース女王だし。
見上げた空は蒼く澄んでいた。
前は綺麗だなぁ…とか思ってたんだけど。
…今はなんとも思わない。
空の色も花の色も何も感じない。
ただ…、
「…あ、モンシロチョウ」
白しか、感じない。
ふう、とため息を吐いて、即興曲を弾く。