君の詩を聴かせて



「軽音……ごめんなさい」


 ぺこりと頭を下げた。

 バンドとか、やる気ないんだよね。

 1人が気楽だし。

 B型さいこー。


「はあっ!?何言ってんの!
 やってんなら入ればいいじゃない!」

「その辺にしとけよ雪」

「…伸也」


 ああ、やたら目立ってる人。

 他人に興味ない俺でも知ってる。


――真島 伸也(マジマ シンヤ)

 クラスのリーダー的存在。


「蕪木困ってんじゃん、それに無理強いは良くないだろ」

「だって…」


 …この隙に帰れないかな。

 隣の琉愛は相変わらずぼーっとしてるし。

 と思って見てたら目が合った。

 相変わらずの無表情で親指を立てて、後ろにぐいっと…。

 あ、琉愛も帰りたいわけね。


「俺、ストリートで十分だし。
 真島、助けてくれてありがと」

「あ…おう」

「それじゃあサヨウナラ」


 手を振って歩き出す。

 渚さんも何も言って来ないみたいで良かった。


「ちょっ…と、あたしは諦めないからねーっ!」

「……うるさい、発情期の猫みたい」

「ぷっ…」



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